遺言にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴や作成方法、法的効力が異なります。目的に応じて最適な形式を選ぶことで、相続の円滑化やトラブル防止に大きく貢献できます。

遺言の主な種類(普通方式)
種類概要メリットデメリット
自筆証書遺言遺言者が全文を自筆で書く費用がかからず手軽無効になりやすい、検認が必要
公正証書遺言公証人が作成、証人2名が立会無効になりにくく検認不要費用と手間がかかる
秘密証書遺言内容は秘密のまま、公証人が存在を証明内容を誰にも知られずに済む無効のリスクが高く、検認が必要

✅ 自筆証書遺言

  • 全文・日付・氏名を自筆で記載し、押印
  • 財産目録はパソコン作成可(各ページに署名・押印)
  • 法務局で保管すれば検認不要(保管制度あり)

✅ 公正証書遺言

  • 公証役場で作成(事前予約・文案提出)
  • 証人2名の立会が必要(公証役場で手配可)
  • 出張作成も可能(病院・施設など)

✅ 秘密証書遺言

  • 本文はパソコンや代筆でも可(署名・押印は自筆)
  • 封筒に封印し、公証人と証人2名の前で提出
  • 遺言書は本人が保管(紛失リスクあり)

 このほかに、2020年7月にスタートした「自筆証書遺言書保管制度」があります。法務局が遺言書を安全に保管する制度で、自筆証書遺言のデメリットである紛失・改ざん・検認の手間などを防ぐために導入されました。

 自筆証書遺言保管制度の概要
  • 対象となる遺言書
    民法第968条に基づく「自筆証書遺言」。全文を自筆で書いた遺言書が対象です(財産目録はパソコン作成可)。
  • 保管場所
    遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地を管轄する法務局(遺言書保管所)で保管可能。
  • 申請者
    遺言者本人のみ。代理申請や郵送は不可。
  • 手数料
    1通につき3,900円(収入印紙)。閲覧や証明書交付には別途1,400円〜1,700円程度。
  • 保管期間
    原本は遺言者死亡後50年間、画像データは150年間保管。
✅ 制度のメリット
メリット内容
安全性紛失・介山・破棄のリスクがゼロ
 検認不要家庭裁判所の検認手続が不要になる
本人確認偽造防止のため、申請時に本人確認を実施
 証明書交付相続人が遺言の有無を簡単に確認できる
プライバシー生前は本人以外閲覧不可。内容は非公開
柔軟性撤回・変更も可能。新たな遺言で上書きできる
⚠️ 注意点
  • 法務局では形式面のみ確認(自筆・日付・署名・押印など)。
    → 内容の妥当性や法的有効性はチェックされません。
  • 財産目録を添付する場合は、各ページに署名・押印が必要

※遺言書の内容が不明確だと、相続時にトラブルになる可能性もあります。専門家の助言を受けるのが安心です。